◆谷川浩司九段(56=対羽生戦62勝104敗で対局カード数歴代3位、タイトル戦でも22度戦っている)「羽生さんの存在によって将棋界はレベルアップしましたが、活躍は将棋界にとどまらず、広い見識を持つ大きな存在です。最も良い棋譜を残せる相手ですし、羽生さんと対局する機会を多くすることが私のモチベーションになっています」

 ◆森内俊之九段(47=小4時から覇権を競う。名人戦で対戦カード歴代最多の9度戦って5勝4敗)「小学生の大会で争っていた友人とトップを争うことになったんですからね…時代の巡り合わせに感謝しています。優れた仲間がいて強くなれました。いろんな思い出がよみがえりますけど、名人戦で何度も戦えたことが思い出深いです」

 ◆佐藤康光九段(48=奨励会同期。森内と3人で研さんを積む)「羽生さんの将棋は日々飛躍していますけど、探究心や姿勢、謙虚さは奨励会の頃から全く変わっていません。思い出は…2005年度のタイトル戦で22番勝負したことでしょうか。私たちの世代は今、羽生さんが孤軍奮闘している状態なので、自分も頑張らないといけないと思います」

 ◆深浦康市九段(46=20代の頃、対羽生戦で高勝率を挙げ『羽生キラー』の異名も。王者に立ち向かう克己心の表明として『羽生さんと殴り合いのケンカをしたら僕が勝つ』との名言もある)「常に羽生さんが前にいるから、私たちは努力していける。常に目標で倒しがいのある相手です。あの言葉は、将棋盤を挟んだら対等でありたいという願いの言葉です」

 ◆木村一基九段(44=研究パートナー。過去4度、タイトル戦で羽生に挑戦するも奪取ならず)「見本ですね。最も尊敬するのは技術に妥協が全くないことです。誰しもある『このへんでいいや』が羽生さんにはない。研究会の日も気を緩めずスキがないですよ。目標として少しずつでも近づいていけるようにしたいと、いつも思わせる人です」

 ◆森鶏二(けいじ)九段(72=1995年度の王座戦で羽生に挑戦するも奪取ならず)「一言で言うと天才です。そして並の天才はいっぱいいるけど、100年に1人の天才です。40歳過ぎてからも活躍し続けているのは羽生さんくらい。あの王座戦第2局の終盤で『羽生マジック』にやられて詰みを逃して負けたのは今、思い出しても悔しいね」

 ◆行方尚史八段(44=過去2度、タイトル戦で羽生に挑戦するも奪取ならず)「イチローは半分引退してしまったけど、羽生さんが戦い続ける以上、僕は頑張りたい。これだけ多くの人を叩きのめしているのに誰からも嫌われない人ってすごいですよね(笑い)。22年前の7冠達成パーティーも出席しましたけど、今日も来ちゃったな…。僕らにとって特別な人です」

 ◆中村太地王座(29=少年期、羽生の出身道場の門を叩く。昨年、羽生から初タイトルの王座を奪取)「7冠当時の羽生先生に憧れて棋士を志したので、羽生先生がいなければ棋士になっていなかったかもしれないです。羽生先生と指すことと他の棋士と指すことは違います。将棋の奥深さを体感する行為。どうしてこんなに勝ち続けられるのか…分からないです」

 ◆菅井竜也王位(26=昨年、羽生から初タイトルの王位奪取)「小さい頃から羽生先生の将棋を勉強してきました。本当に尊敬しています。他の方に失礼かもしれませんが、初防衛戦は羽生先生に挑戦していただきたい思いはあります。羽生先生と一緒にいられるのは最高の時間なんです。また最高の時間を共有させていただきたいです」

 ◆清水市代女流六段(49=羽生が7冠を独占した96年に女流4冠を独占し『女羽生』と称される)「将棋界の宝物です。同じ時代を生き、同じ時を過ごしてきたことをすごく幸せに感じます。盤上での厳しさとは反対に、いつまでも少年のようにおちゃめな人です。気さくに接していただいても、こちら側はどこか緊張してしまう方でもあります」

 ◆羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ、東京都八王子市育ち。47歳。二上達也九段門下。6歳で将棋を始め、82年に棋士養成機関「奨励会」入会。85年、史上3人目の中学生棋士に。89年、19歳で史上最年少(当時)タイトル(竜王)獲得。96年、史上初7冠独占。通算獲得タイトル99期。昨年12月に永世7冠達成、今年2月に国民栄誉賞受賞、4月に史上2人目の通算1400勝。家族は理恵夫人と2女。

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