シャフトのメンバーから二足歩行の仕組みを根掘り葉掘り聞きだしたルービンは、白紙の小切手を差し出して言った。

「僕はこれからコーヒーを飲んでくる。君たちの会社をグーグルに売る気があるなら、そこに金額を書き込んでおいてくれ」

 メンバーは侃々諤々の議論の後、考えうる最大限の金額をそこに書いた。戻ってきたルービンは小切手を見ると顔色一つ変えず、こう言った。

「あとの手続きは彼女がやってくれるから。じゃあ僕は帰るよ」

 グーグルはシャフトを数百億円で買収した。「あの人、OSの人だよな?」。決断の早さもさることながら、シャフトのメンバーはロボットに関するルービンの見識の高さに舌を巻いた。シャフトはその年、米国防高等研究計画局(DARPA)のロボットコンクール予選で首位に立ち、世界を驚かせる。

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