―「君たち悔しくないのか」という谷川浩司九段の檄がありました。高見さんはやっぱり悔しかったんですね。
当たり前です。というか、もうショックでしたね。しかも、自分は(予選を勝ち抜いて)朝日杯の本戦に入れてたわけですよね。羽生先生という分厚い壁に阻まれてしまったものの、自分さえ頑張っていれば、藤井さんの優勝を阻止することができたわけですよね。それができなかったのもまた自分の実力です。実際に勝ち抜いた藤井さんの優勝というのも現実です。「悔しいな」と思いつつ(藤井優勝、六段昇段を伝える)号外を取りに行って。悔しくないわけはないんです。それはきっと谷川先生も分かってらっしゃると思います。
あの時は、自分もタイトル戦(叡王戦七番勝負)に出られることが決まってたので、悔しいけどこれを励みにして、と思いました。 自分はみじんも負けてるつもりはないというか。先にタイトル戦に出られたわけですから。9歳も下の人にそう思うのもあれですが、張り合う気持ちはあります。だから「自分は違う大舞台で頑張ろう」という糧(かて)、モチベーションにはなりましたね。