大阪といふところは、東京と対立しうる唯一の大都市で、同時に何百年来の独自な文化をもつてゐる。おまけに、その文化が気質的に東京と対立して、東京が保守的であるとすれば、大阪はともかく進歩的で、東京に懐古型の通とか粋といふものが正統であるとすれば、大阪は新型好みのオッチョコチョイの如くだけれども実質的な内容をつかんでをるので、東京の芸術が職人気質名人気質の仙人的骨董的神格的なものであるとき、大阪の芸術は同時に商品であることを建前としてゐる。かくの如くに両都市が気質的にも対立してゐるのだから、東京への反逆、つまり日本の在来文化への反逆が、大阪の名に於て行はれることも、一応理窟はある。