ノーベル経済学賞の受賞者で行動経済学の大家ダニエル・カーネマンは著書『ファスト&スロー』のなかで、人間の脳の直感的な部分は数学や統計といったことはあまり得意ではないと書いている。カーネマンは以下のような例を用いて、このことを説明する。
野球のバットとボールがセットで1.1ドルで売られている。バットはボールより1ドル高い。さて、ボールはいくらだろう。多くの人が直観的に、10セントだと思うのではないだろうか。それは間違っている。ボールが10セントでバットはボールより1ドル高いなら、バットは1.1ドルだから、両方合わせれば価格は1.2ドルになる。正しい答えは、ボールが5セントでバットが1.05ドル。これなら合計は1.1ドルだ。