実験では2種類の被験者グループに、2つの皿が置かれた部屋で待つよう指示をした。1つの皿には焼きたてのクッキーが、もう一方には紅白の大根が盛られている。各グループは、どちらか指定された一方のみを食べてよい。大根を指定されたグループは、クッキーを食べたい気持ちを抑えるために強い意志力を発揮しなければならないはず、というのが実験の前提だ。

 次に、両方のグループにパズルに取り組んでもらった。被験者には知らせていないが、そのパズルは完成できないようにつくってある。研究者らは、どちらのグループのほうが課題に長く取り組むかを見極めようとした。事前の予想は、「大根グループのほうがパズルを諦めるのが早い」であった。クッキーを食べまいとして、エネルギーの蓄えをかなり消費したと思われるからだ。そして結果は、まさに予想通りとなった。

 クッキーを食べなかった被験者の作業継続時間は平均8分であったのに対し、クッキーを食べたグループ(および、パズルのみの実験に参加した対照群)は19分であった。

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