共感覚とは、脳神経の働きにかかわる特性で、普通は別々のモジュールで処理されている複数の感覚が、交差して同時に知覚されることを言う。たとえば数字や文字に色が見えるなど、いろいろな組み合わせがある。
「たとえば、ある数字についてわたしが考えるとしましょう。すると、ただその色が浮かんでくるのです。わたしの場合、3は黄色をしていますが、黄色をした3が見えるわけではありません。同時に起こるふたつの感覚のようで、それらはどのようにしても混ざりません。もし3について考えると、愉快なことに色はどこにでも表れるのですが、それはちらほらとで、毎日目にする(現実の)色とは競い合うことすらないのです」
ダイクグラーフ所長はそう言ってさらに言葉を続ける。「数のなかでは8も黄色ですが、3とは違った色合いの黄色です。黄色はいつも見ますよ。計算しているとき、3と8はどこにでもありますからね」