過去何千年もの間、主要な交通手段は馬だった。このため、「馬なし馬車」は見かけも概念も奇異であるばかりか、当時まだ道路を行き交っていた馬たちを動揺させることにもなった。これまで慣れ親しんできた乗り物と異なっていたため、なかなか普及しなかったのである。
ところが1899年、発明家のユライア・スミスが妙案を思いつく。問題は自動車の機能ではなく、人々の心理だと気づいた彼は、「ホーシー・ホースレス(Horsey Horseless)」という車を開発した。フロント部分に、馬の頭から首までの等身大の模型を取りつけた代物だ。この模型は、ガソリンタンクの役目も果たした。