トキソプラズマは、猫の糞便や食品(加熱の不十分な食肉など)などを通じて拡散する。このトキソプラズマにネズミが感染すると、彼らは猫の尿の匂いを恐れなくなるという。ネズミは匂いを避けなくなるため、猫に捕まりやすくなるわけだ。
つまり、トキソプラズマは脳内辞書から「恐怖」の文字を消してしまう原生生物なのである。
ちなみに、アメリカ疾病予防管理センターによると米国のトキソプラズマ感染者は3,000万人いる。特に症状などはないが(もしかしたら猫好きになるのかもしれない)、妊婦や免疫障害を抱える人については死亡例もある[編註:妊婦が感染すると、死産や出産後の子どもに重篤な症状が現れる場合がある]。
さて、生物学者と経営学教授のあるチームは、経営専攻の大学生たちを対象にトキソプラズマ感染を調べる検査を行った。その結果、トキソプラズマに感染している生徒のほうがマネジメントや起業、自分のビジネスを始めることなどに興味をもつ割合がわずかに高いことがわかったという。