中国語は一つの漢字に対して発音は(原則として)1種類。ところが,日本の漢字の音読み(漢字音)は何種類にも分かれます。例えば「行」には「ギョウ/コウ/アン」の3種類の音があります。これを順に「呉音」「漢音」「唐音(とういん)」と言います。
呉音は最初に日本にやってきた漢字音で,四書五経や仏教経典などとともに伝来しました。現在でも「修行(しゅぎょう)」「勤行(ごんぎょう)」のような仏教語でよく使われます。一方,漢音は奈良~平安時代初期に遣唐使等を通じて伝来しました。現在では「急行(きゅうこう)」「行動(こうどう)」といった日常語でよく使われます。唐音は鎌倉時代以降に禅宗を通じて伝来したもので,現在でも「行脚(あんぎゃ)」「行灯(あんどん)」といった語として生きています。