ハリガネムシが体内で成長して行動操作を受けているコオロギの脳内でだけ特別に発現しているタンパク質がいくつか見つかりました。それらの異なるタンパク質は神経の異常発達に関わったり、場所認識に関わったり、あるいは光応答に関わる日周行動に関係したりするタンパク質と似ているとわかりました。さらに、それらの寄生されたコオロギの脳内にはハリガネムシが作ったと思われるタンパク質も含まれていたのです。
これらの研究から、ハリガネムシは寄生したコオロギの神経発達を混乱させ、異常行動をさせながら、光への反応を変えさせ、水辺に近づいたら飛び込むように操っているのではないかと考えられています。