「今日のビジネス界でピーター・ティールの名を聴いたことがないという人間がいたら、そいつはまちがいなく三流だ」と宣言する。

 ティールは、世界最大のオンライン決済サービス、ペイパルの共同創業者であり、フェイスブック創業期にその可能性に気づいた初の外部投資家であり、CIAやFBIを顧客にもつビッグデータ解析企業パランティアの共同創業者でもある。――パランティアは日本では馴染みがないが、その企業価値は2兆円を超えるといわれている。

 雨後の筍のようにスタートアップが出てくるシリコンバレーでも、評価額が10億ドルを超える企業は「ユニコーン」と呼ばれる。ユニコーンは額に一本の角をもつ伝説の一角獣で、「誰も見たことがない」という意味で使われる。ところがティールは、ユニコーン企業をはるかに上回る100億ドル、あるいは1000億ドル級のスタートアップに3つもかかわっているのだ。

 ペイパルからは、イーロン・マスク(テスラ・モーターズ/スペースX)、リード・ホフマン(リンクトイン)、ジェレミー・ストッペルマン(イェルプ)をはじめ、シリコンバレーを代表する起業家が次々と生まれている。固い絆で結ばれた彼らは「ペイパル・マフィア」と呼ばれ、ティールがその首領(ドン)だ。

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