紀元前4000年ごろのレバント地方(東武地中海沿岸地方。現在のイスラエルやレバノンの地域)には、小規模ながら多数の工場が存在し、分業体制が確立されていたという。すなわち、そこにはすでに組織があり、営利を目的とする経営があった。いまから6000年前には、現在の我々が「企業」と呼ぶ組織の原型が活動していたのである。
また紀元前2600年頃から興隆したインダス文明では、陶器に製品のブランドやトレードマークを掲示することが一般的であったと言われる。モヘンジョダロやハラッパ、そしてロータルから出土した土器には、コブ牛(Zebu bull)やユニコーンの刻印が押されていた。これはまさしく、ブランディングによる商品差別化が行われていたことを示す。