講演の達人は2秒から3秒の沈黙、あるいは、それよりも長い沈黙さえ頻繁に利用する。当社の音声データによれば、平均的な話し手は1分間に3.5回しか沈黙しておらず、それでは不十分だ。
そうなるもの無理はない。沈黙はなかなか受け入れがたいものだ。
多くの講演者には、極めて短い沈黙でさえ、延々と続くように感じられる場合がある。なぜなら、考えるペースよりも、話すペースのほうが速くなりがちだからだ。我々の研究によれば、平均的なプロの講演者は毎分150語のペースで話をする。だが、ミズーリ大学の研究によれば、人が考えるペースは毎分400語だ(速い人なら、毎分1500語に達する場合がある)。
この差ゆえに、スピーチをする際に時間の認識がしばしば歪められ、講演者には永遠のように感じられる時間が実際は2~3秒で、聴衆にとってはほんの一瞬なのだ。