雑用ばかりで、升田は将棋の勉強もできないと不満を募らせる。そんなある日、買い物に出て凍りついた道路で足をすべらせ、鍋の中の豆腐を放り出してしまった。普段から気の抜けた升田の生活態度を見ていた木見夫人は、「使いっ走りも満足にできんどって、なにが将棋や」と叱しかりつけた。

はっと気づかされるものがあった。後年の升田のことば。《それからというものは、どんなことにも気持ちを集中させた。一生懸命すれば雑念がわかず、不平不満も起こらない》

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