▲4三歩の新構想から主導権を握り、勝ち切った。
羽生は新四段時代の1986年度にNHK杯初登場。18歳当時の88年度には大山康晴、加藤一二三、谷川浩司、中原誠という名人経験者4人を破って初優勝し、棋界に衝撃を与えた。同年度の決勝は平成元年2月だったため、平成最初と平成最後のNHK杯で頂点に立ったことになる。
羽生九段は通算10回の優勝者に贈られる永世称号「名誉NHK杯選手権者」の唯一の保持者。11回目のNHK杯制覇は、過去に刻んだ栄光の中でも特に難易度の高い記録と言っていい。前年優勝者でも、タイトル戦のように決勝を「防衛戦」として戦えるわけではなく、トーナメント初戦から無敗で勝ち上がっていかなくてはならない。今大会は高野智史五段(25)、菅井竜也七段(26)、豊島将之2冠(28)、丸山忠久九段(48)、郷田九段という各世代の強豪5人を連破した。