車両は検知した“謎の物体”が何であるのかを推測しようとするたびに、その物体(すなわち横断していた女性)の向かう先を予測する処理を最初からやり直していた。そしてシステムは衝突の1.2秒前になってようやく、車両が女性に衝突すること、ハンドルを切っても回避できないこと、そして急ブレーキをかける必要があることを認識したのである。

その結果、Uberが「動作の抑制(action suppression)」と呼ぶ機能が動作した。システムは「発見した危険の性質」を検証するために1秒間、ブレーキをかけずに待機する結果となったのである。

この1秒間に、運転席に「安全オペレーター」として座っていた男性は“最後の砦”として車両の制御を取り戻し、自分でブレーキを踏むことができたはずだ。しかし、そのとき彼は道路に視線を向けていなかった。車両が衝突0.2秒前に警告音を出して初めて、彼はステアリングを握り、自動運転システムを解除したのである。女性に衝突してから1秒近くたって、ようやくオペレーターはブレーキを踏み込んだ。

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