「今後さらにAIの影響が進んでいったとき、内容が画一的になるかどうかが将棋の世界の運命を決めることになる。例えば勝つ確率が8割と2割に分かれたら、人間は80対20には分かれずに、98対2くらいに分かれてしまう。確かに今、AIによって確率や統計の精度が強烈に上がっているので、ミクロ的に見れば、それに従うほうが正しい。でも、皆でそうするのは、将来的に非常にリスキーなことです。AIによって新たな課題は与えられているけれど、将棋の可能性を狭めてしまうことにもなる。やっぱり、2のほうの人がいないと、廃れてしまいます。多様性は本当に大事で、少し不利とか、ダメと言われるほうにこそ、私は可能性があると思っているんです。
ただ、負けますねぇ(苦笑)。将棋以外のあらゆるジャンルでもそうなっていくでしょうけど、恐ろしく精度の上がった確率や統計に下手に抵抗すると、大変な目に遭います」