人々は「Zoom」や「Microsoft Teams」を利用したヴィデオ会議の世界に投げ込まれた。そして画面に映る自分の顔を一日中見つめる日々が続くなか、「自分に対して抱いていたイメージ」が崩れていったのである。
このような身体醜形障害を「Zoom異形症(Zoom dysmorphia)」と名付けたのである。
2015年には「Snapchat異形症」という言葉が生まれているが、これは現実の生活のなかでも「顔を加工するフィルター」でつくった顔(大きな目と輝くような肌)のように見られたいと望む人々の増加を示している。
スマートフォンなどに搭載された自撮り用のフロントカメラでは、鼻が大きくなり、目が小さくなって見えるのだ。レンズとの距離が近くなると、この効果はさらに激しくなる。一般にレンズは、人が現実の生活で会話する状況よりかなり近くに置かれるからだ。
それがスマートフォンやノートPCのカメラを見下ろすかたちになる場合は、最も望ましくない角度になる。
Zoomでの会議中に自分が集中して眉をひそめている顔(あるいは退屈している表情)は、鏡で見慣れている自分の像と一致しない。
「(ヴィデオ会議に)費やした時間が長い人ほど、自分の外見についての自己認識が悪化していました」