カタリン・カリコもそうだ。カリコは数々の逆境を跳ね返し、メッセンジャーRNA(mRNA)テクノロジーを切り開いた。空前のスピードで新型コロナウイルス・ワクチン開発を可能にしたのは、この技術である。

 カリコは、共産主義体制下の東欧ハンガリーで精肉業者の娘として生まれて、水道も冷蔵庫もない環境で育った。大学時代にRNAの研究を始めたが、20代後半で米国に渡る。その後、何十年もの間、論文を投稿しては掲載を却下され続け、他の研究者たちから嘲笑を浴び、国外追放の脅しまで受けた。

 しかし、その研究は、ファイザーとビオンテック、そしてモデルナの新型コロナウイルス・ワクチンを開発する土台になった。カリコをノーベル賞候補と呼ぶ研究者も少なくない。

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