ハリガネムシの寄生している宿主の脳を調べたところ、行動量や場所認識、視覚に関わるいくつかの神経伝達物質が、異常に発現していたという。そのなかには、ハリガネムシが大量に生産しているものも含まれているそうだ。
ハリガネムシに寄生されたカマキリは、水面の反射光に含まれる、電磁波の振動が水平方向に偏った「水平偏光」に反応していることが報告されている。つまり、この寄生虫はカマキリの脳に作用する神経伝達物質によって、彼らを活発に動きまわらせながら、水面の光を好むように仕向け、太陽や月の光を反射して輝く水面に身を投じさせているということになる。
同じことはカマドウマに寄生する種でも行われている。また、コオロギに寄生する種では、コオロギを操って鳴かなくさせるという。宿主のエネルギー浪費を防ぐと同時に、鳴き音で捕食者に見つかって一緒に食べられてしまわないようにしているのだろう。