最近では、自社単独でなくエコシステムを構築してパートナー企業を呼び込む方法もある。エコシステムを構築するためには、自社がダントツとなる強みによって独自の差別化を実現してデファクトとなるプラットフォームを築く。そして、そこにパートナー企業を呼び込んで事業規模を拡大することによって、その事業から大きなキャッシュフローを生み出していくのである。

 この点で最も理解しやすい事例は、アマゾン(Amazon.com)であろう。それまで存在していなかった規模で、全米のどこにでも最短1~2日で配送できるという物流ネットワークを、自社の倉庫や配送センターを約150拠点も建設して構築した。

 この物流ネットワークが自社固有の強みとなり、競合企業に対してダントツの差別化を実現している。そして、その物流ネットワークを活かして販売する商材を、書籍にはじまって、日用品、オフィス用品、そして生鮮食品などにまで広げ、顧客の囲い込みを実現している。

 結果、厚みのある顧客基盤、豊富な顧客データの解析によるインテリジェンス、倉庫保管・荷造り・配送というサービスをビジネスサポートとして提供するプラットフォームとして、パートナー企業の出店を受け入れて、さらなる成長を実現しているのである。

 加えて、その大規模かつ複雑な情報マネジメントをもとにしたAWSというクラウドサービス事業を生み出し、大きな利益を生んでいる。アマゾンは、まさしくエコシステムを実現しているといえる。

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