プライシングとは、原価に一定の利益を上乗せして行う原価積み上げ方式だけではない。原価積み上げ方式は、一定の利益を得ようとするものであるが、なぜその利益なのかの根拠が乏しく、それまでの長年の社内慣行であるとしか答えられない場合も多い。本来、もっと利益を得てよい場合もあるはずであり、稼ぐ力の向上につながるはずである。

 たとえば、売り手である企業の製品やサービスからお客さまが受ける追加的な価値を基準に、その価値を両者で分配する方式のプライシングである提供価値によるプライシング(バリュー・ベース・プライシング)が、公正な価格と考えられる。企業間のB2B取引であれば、顧客が受け取る追加的な価値を論理的に推計して、その追加的な価値の分配を議論する。こうして、公正な価格が売り手と買い手の両者の納得の基で形成されるのである。

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