翌2008年、年が明けてすぐ電話をくれたのが新潮社さん。次いで角川さん、小学館さんからも連絡をいただきました。半年間で4社から依頼があったわけだけれど、どの社でも、最初の1本はボツを食らいました。――いい? ここからいいこと言うからよく聞いてね(笑)。
ボツを宣告される時、集英社のHさんによく言われたのは、「『氷平線』を書いた桜木さんが、この原稿はないです」って。『氷平線』という1冊を踏まえたうえでの仕事をしてもらわないと困る、ということを暗に言われたんです。「書き急がなくていい」「焦らなくていいから、ちゃんとしたものを書いていきましょう」と、各社の編集さんに励まされました。