エンデミックな状態とは、集団免疫の強さと感染の広がりが一定の釣り合いの状態に達することを意味する。ウイルスの宿主がいなくなるほど免疫のある人が多くいるわけでもなければ、大規模な感染拡大が起きるほど免疫のない人が多くいるわけでもない状態だ。
例えば、風邪はエンデミックな状態となっている。一部の風邪は新型コロナウイルスとは異なるコロナウイルスが原因となっているので、新型コロナウイルスもいつかは軽症状の感染症になる可能性があるとの推測もされてきている(1800年代末にヒトに感染が広がった「ヒトコロナウイルスOC43」は、軽症状化するまで1世紀かかった)。
また、インフルエンザも同じくエンデミックである。誰もがマスクを着用するようになる前には、米国で毎年20,000〜50,000人の死者を出していた。つまり、エンデミックな状態になったからといって、危険がなくなることが保証されるわけではない。エンデミックな状態とは「常に感染に気をつけなければならない状態」なのである。