2009年、日本のある患者の耳に、新たな真菌感染症が発生した。伝染性の高い「カンジダ・アウリス(Candida auris)」という真菌は、それまで科学的に知られていなかった(そして治療薬にも耐性があった)が、数年のうちにヴェネズエラ、イラン、ロシア、南アフリカで感染者が出現し始めた。

科学者たちは、この感染の拡がりは人の移動によるものだと考えていたが、感染者の塩基配列を調べてみると、これらの菌株はまったく近縁ではないことを発見して驚くことになる。実際には、まったく別の未知の真菌症が、世界各地で同時に発生していたのだ。カンジダ・アウリスに感染した人の約3分の1は30日以内に死亡し、現在では47カ国で数千人の患者が発生している。

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