イタリアのクルーズ客船運航会社コスタクルーズが2006年に中国市場に初参入した時、ほとんどの中国の旅行者はクルーズ客船のことを聞いたことすらなかった。船はもっぱら輸送手段と考えられていたのだ。

 コスタはまず、1000人規模の小さなクルーズ客船1隻を上海に展開し、市場をテストした(小規模で始める戦略の好例とも言える)。このような比較的小さな客船は、旅行者がクルーズ客船に馴染みのある米国や欧州では注目を浴びなかっただろう。しかし中国の顧客は、その目新しさと異国情緒に興奮した。

 コスタは快適な客室や国際色豊かな食事、イタリア・オペラのパフォーマンス、そして欧州のソムリエによるワインのテイスティング教室など、まったく新しいバケーション体験を提供し、大きな人気を博した。

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