スタートアップの仕組みの細かいことについて学ぶのは 単に不必要なだけでなく、むしろ落とし穴になり得るとも思っている。 転換社債やら雇用契約やらFFクラスの株式(うわ、恐ろしい)やらについて やたらに詳しい大学生がいたとしても、私は「おお、こいつは同年代に比べて飛び抜けているな」 なんて思わないだろう。むしろ大音響で警報が鳴り響く。 というのも、若い創業者がよくやらかすもうひとつの間違いは、 起業の型をただなぞることだからだ。 何かもっともらしいアイディアをひねり出して、良い評価額をつけてもらって投資を受け、 かっこいいオフィスを借りて人をごそっと雇う。外からみたら、スタートアップが やっていることそのものに見えるだろう。 でも、かっこいいオフィスと雇ったスタッフの後に来るのは、 徐々に自分たちがどれだけ大失敗したかをじわじわと自覚させられるステップだ。 だって、スタートアップがやるようなことを外見的に真似しようと一生懸命に なっている間に、ただ一つの重要な仕事を忘れていたからだ。 人々が欲しがるものを作る、っていうことをね。