わかりやすくたとえると、回り続ける円錐のようなものです。ひとたび足をすくわれてしまうと、企業の存続すら危うくなります。
円の面積はπ(円周率)×r(半径)の二乗ですから、上から下にいくほど断面の面積は広くなり、外周も長くなります。回り続ける円錐では、下に降りるほど一回転当たりの移動距離が長くなり、よりスピーディに動かなければ、振り落とされてしまいます。
競争の激しさは下にいくほど増していきます。円錐の上部は面積が狭いので、わずかのプレーヤーですぐに埋まってしまうからです。すると、その優位性が通用しなくなったプレーヤーは、そこから締め出され、下へと降りていかざるをえません。ただし、下は外周が長いため、前にも増して急いで走らなればならない。下がれば下がるほど過当競争に巻き込まれ、厳しい状況に追い込まれていくわけです。
速く走らなければ現状を維持できない。まるでルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に出てくる「赤の女王の国」(『不思議の国のアリス』の続編。赤の女王の国でアリスは懸命に走るのだが、周りの景色が変わらない。これは景色そのものが前へ前へと飛ぶような速さで動いているため)のような世界です。