クールが長かった時代のアニメーションは、先ほどもいったように作品を作ることが目的じゃなかったわけです。なるべく長くキャラクターの関連グッズを売るための宣伝媒体だった。
そういう体制だから、クオリティにはそんなにこだわらなくてもいいという考え方もあったようです。アニメ自体の商品価値っていうよりは商品を売るための手段でしたから。そして、昔はアニメーターが2人とか3人ぐらいでシリーズをずっと回していて、平均的な一般年収の3倍から4倍稼いでいた。シリーズを少人数で制作できた時代があったわけです。だから、キャラクターの影もなかった。
けれど、続々と映像自体が商品化されていくとクオリティアップが求められてくるから、どんどんデザインも緻密で洗練されたものになって複雑な制作工程になっていく。複雑なデザインの表現と動かすことの両立が困難になっていって、ついに今日に至っては動かない方がいいみたいな話にもなっている。動かなければ絵が崩れない、だからいい(笑)それは本来の意味でのアニメーションと呼べるものなのかどうか。