細野 そうそう(笑)。で、 そんなときに幸宏からソロを作りたいと声をかけてきて。プロデュースしてくれって言うんで、最初はそういう気持ちで関わったんだよね。
細野 うん。だから幸宏が何やりたいのか探って。昔のフランス映画の主題歌をやりたいとか言うから、そっちがそう出るんだったら、こっちもThe Cyrkleの「Turn-Down Day」っていう60年代のヒット曲が好きだから、そういう曲をやったら面白いんじゃないかとか。突然思い付いただけなんだけどね。全然エレクトロニカにしようとか、そういうことは考えてなかった。
細野 幸宏もエレクトロニカを聴き出してたんだろうけど。お互い黙っていたんだよね(笑)。で、幸宏から自分のソロじゃなくて、一緒にユニットとしてやろうという提案があったんで、そこから一気に動き出した。音響系をやろうみたいなね。制作中に動きが変わってきたんで、1枚目のアルバム(「audio sponge」)にはいろんな要素が出てきちゃったよね。でもその頃は、さっき言った「Pluggo」とかそういうものはそろってないわけ。それぞれ自分なりにやってたんだろうね。僕もゲートをかけてエレピの音を減衰させて、「これはいいや!」って思ったり(笑)。
細野 「これこれ!」と思って(笑)。ノイズが入ったり、音が途切れたり、スクラッチしたり……スクラッチと言ってもヒップホップとは全然違うんだけど。スクラッチじゃなくてグリッチって言うんだよね。いまだになんだかわからないけど、とにかくそういうザラザラした音を作ることが第一目標だったんだ。今で言えばそれがエレクトロニカなんだろうね。当時はそう思ってなかったけど。
細野 最初は意図はしてなかったと思うけど、制作半ばで変わっていった。
細野 まあ遊んでいるんだけど(笑)。
細野 だいたいビートからだね。幸宏がドラムのパターンを考えたりとか。でも実際どうやって作ってたのか全然覚えてないね。
細野 OS9ってすごく自由が効くんで、いまだに使いたいシステムなんだけどね。そのうち「Pluggo」が出てきて、それで興奮して。あの頃は、とにかくチリチリ言わせたかったんだよ。
細野 うん。それで完成した音源を、小原礼と尾崎亜美の家に行って聴かせたら、「なんかチリチリ言ってる」って言われて。