1950年代後半から60年代前半にかけて、ピーター・ドラッカーが「競争」について述べた内容を読むと、実は一つのことしか述べていなかった。価格競争についてである。
マイケル・ポーターは1979年、そのような一般的な考え方に疑問を投げかけた。ポーターはこの年の論文「競争の戦略」で、価格競争のほかに4つの競争要因があることを示した。2008年に、この論文の改訂作業をおこなった際、どのように5つの競争要因という枠組みを思いついたのかと私が尋ねると、こんな言葉が返ってきた。「価格競争がすべてのはずがない」。