『ドラゴンボール』で言うと、その前の『Dr.スランプ』のヒットがあったから、最初は編集部のバックアップもあって、アンケートは悪くなかった。
ところがいつのまにか、アンケートがズルズル落ちていった。10位を割って「このままいくと終わるな」と。読者は作家の名前で読んでるわけじゃないから、反響がないってことはつまり、読者に伝わっていないわけだよね。それはどうしてなのかって、分析するわけですよ。
そうして分析した結果、悟空という主人公が曖昧で、読者に伝わっていないと。じゃあどうすれば主人公をはっきり印象づけられるのか。
「悟空って何?」という分析を鳥山さんと一緒にして、出た答えが「強くなりたい」だったから、それをはっきりさせるために、亀仙人以外のキャラクターをいったん全部捨てて、悟空と亀仙人で修行をさせようということになって。
ただ、ふたりだけだと悟空のキャラクターがはっきり投影されないので、悟空のライバルとなる対比的なキャラクターを持ってくる。白の碁石に対する黒みたいなもの。
これがクリリンで、ずる賢くて要領のいいヤツを持ってきて、3人で修行編をやった。
これによって悟空のキャラクターとか強さを見せてから、修行の成果を天下一武道会で見せるというやり方にして。これで読者が見たいものにつながって、反響が一気に上がって人気が急上昇した。