最初は企画だけ坂口が立てて、実作業は別の社員に任せていたんだよ。当時の坂口はスクウェアが拡大期で、クリエイターのスカウトだとかで忙しかったからね。でも、出来上がったロムを見たら……なんかね、もう一つという出来なんだよ。

「まあ仕方ないかなあ」と思って、ひとまず鳥山さんに見せに行くことにしちゃったんだよね。

 ところが、新幹線で鳥山さんの家に着いたら、坂口から突然電話がかかってきて、いきなり「鳥山さんに見せました?」と聞いてくるの。「いや、これからだけど」と答えたら、坂口が「じゃあ、見せずにすぐ持ち帰ってください。これはダメです。僕が全面的に入って、最初から作り直します」と言うんだよ。それから、すぐに坂口は泊まり込みで作り直し始めた。

 それを聞いたときに、「こいつ、信用できる男だな」と思ったね。いや、それまで信用してなかったわけじゃないんだけど(笑)。

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