気象学者エドワード・ローレンツはおよそ60年前、「バタフライ効果」を世に広めた時に正確な予測を立てる試みは無駄だと証明した。「アマゾンのジャングルで1匹の蝶が羽をはばたかせると、その後に欧州の半分が嵐に襲われる」と彼は言った。
この言葉は「小さな事象が大きなインパクトをもたらしうる」という意味に解釈されることが多いが、ローレンツの洞察はさらに深遠だ。複雑系においては、ある変数の小さな変化は何の影響も及ぼさないこともあれば、甚大な影響を及ぼすこともある。そして結果的にどちらになるのかを予測するのは、事実上不可能ということだ。