ボトムレス・コーヒーを例にとろう。サブスクリプションを申し込むと、Wi-Fiが使えて超高性能な小型の量りが送られてくる。この量りの上にコーヒー豆を置いておくと、企業が「消費量を読み取り、ちょうどよいタイミングで顧客に代わって再注文する」仕組みになっている。
ボトムレス・コーヒーのサブスクリプションサービスでは、顧客が新鮮なコーヒー豆を切らしてしまうことはない。注文するのを忘れてはいけないとか、送られる量が多すぎるとか少なすぎるとか、固定スケジュールの配達日まで待たなければならないということがなくなり、解約しない限り、必要な時に必要なものを入手することができる。
必要な時に必要な分だけコーヒー豆を入手できれば、豆は古くならないし、ボトムレスのほうも消費量のデータを収集することにより、顧客の好みに合わせた配送ができるようになる。このようにして価値が蓄積されていくのである。
たとえば、ある特定の焙煎コーヒー豆が短期間で消費されていたら、顧客はその豆を気に入っていると推測できる。次回の発送では、似た種類の豆を送ることが可能だ。そうすれば、新しい別の豆という目新しさで、「可変性という報酬」を顧客に提供できるし、顧客の嗜好から大きく外れない商品を確実に選ぶことができる。