——『Saravah!』のヴォーカルを録り直したいという思いは、ずっとあったのでしょうか。
「10年以上前から、“何とかしたいな”って思っていたんです。せっかく、(山下)達郎や(吉田)美奈子がコーラスをやってくれているんだから、リード・ヴォーカルをもうちょっとちゃんとやりたい。今の確立されたヴォーカル・スタイルで、このアルバムを聴いてみたいって」
——ご自身の当時のヴォーカルは気に入っていなかったんですね。
「ここまでちゃんと歌うのは初めてでしたからね。だから歌い方が決まっていなくて、細野(晴臣)さんみたいだったり別の誰かを真似してたり。大人っぽく歌おうと無理していたのかもしれないですね。当時26歳でしたけど、歌詞の内容とか妙に大人っぽいじゃないですか」
——そうですね。スタンダード・ナンバーのカヴァーも入っていますし。
「〈ムード・インディゴ〉はフランク・シナトラでしょ。シナトラっぽく歌うのは難しいから、リンゴ(・スター)みたいに無機質な感じで歌おうと思ったのは覚えています」