高橋「相手を見るわけ。教授だと、もう第1バイオリンの人がもう分かってて、この人、難しいからみたいな。でもブラスでもやっぱり分かってないからね。大体ジャズやってるから、ブラス系の人はリズムがそんな酷い人ってのは少なかったけど。」
坂本「まぁ、少なかった。けど……あのね、ジャズの人のリズムってのは癖があって、遅れるんの。」
高橋「癖あるよね、ジャストじゃないからね。」
坂本「で、きちんと遅れてんの。ずーっと、統一的に。いつも後ろなの。」
高橋「(笑)あとさ、キメの部分で遅れたりする人いるでしょ。」
坂本「なんかね、それが、こう、なんていうの……いい演奏だという、固定概念がどうもあの当時あったらしくて、いつも遅れてるんですよ、はっきり。」
高橋「(笑) じゃ、全部ずらせばいいじゃん、前に。」
坂本「ま、実際ね、録った後にそこの部分だけ前にずらしちゃえば、合うことは合うんだけど。」
高橋「でも1回、別のテープに移して、また戻さなきゃいけないから……」
坂本「クオリティが悪くなっちゃう。で、やっぱりその遅れる感じが嫌だから、「もっと前に前に!」とかって言ってましたよ、僕は。」
高橋「言ってたね。突っ込んだ感じでやってくださいとかね。」
坂本「本人たちはなんかね、とにかく人より前に飛び出しちゃうこと、演奏してて極端に嫌うんだよね。それはブラスに限らず、みんなそう。ギターやドラムやベースの人もそう。」
高橋「確かにそうだね。僕は平気だけどね。全然。正しいと思ったら。」
坂本「それでなんか、後ろであればあるほどいい、みたいなノリがありましたよ。当時ね。」
高橋「あったね。タメって言ってね。」