クレジット事業と売却したオートローン事業とで、回収のリスクがある未収金額は合算して算出されていた。しかも、実はオートローンは未収率が低かった。逆に、未収率が高くなっていたのがクレジット事業だった。それをミックスすれば、未収はそれほど大きくないように見えていただけだったのだ。
国内信販では、3カ月を未収と考えていた。改めて1カ月で未収金額を算出してみると、70億円もの規模になった。これを見て、三木谷は青くなったのである。当時の楽天の月商は、約150億円。
なかなか高まらない社内の緊張感に、三木谷が自ら、
「オレがやる」
と回収のセクションに出向いて、電話をかけようとしたこともあった。
「もちろん、三木谷に債権回収の経験はありません。でも、これでまた緊張が一気に走ったんです。親会社の楽天トップの三木谷がやろうとしたんですからね。財務だろうが、人事だろうが、全員やる。オレもやる。役員もやる、となりましたよね」