会社分割には、三木谷の大きな決断が必要だった。過払い金問題を抱えている会社を分割するのである。譲渡の際には、800億円にものぼる損失を計上することが求められたのだ。
「何度も増資のお願いをすることになりましたが、過払い金問題を抱えている限り、このリスクはなくならないわけです。大きな、計算できないようなリスクを抱えている会社だった。それも決断をして切り離せば、もう心配はいらないわけです。過払い金問題はなくなり、楽天カードという会社に対する見方も変わる。カード事業は、気持ち良く走れる」
三木谷に提案したのは、前年の2010年だった。すぐには返事はなかった。三木谷が悩むのも当然だと思った。800億円もの損失なのだ。