多くの声優は事務所とは別に、協同組合の日本俳優連合(日俳連)に所属する。監督やプロデューサーが声優をキャスティングする際は、日俳連の組合員や新人が載った「ランク表」が使われるため、無名の新人は日俳連に登録しなければ仕事が入ってこないからだ。
日俳連に所属する声優のギャラは、「基本ランク」×「時間割増率(作品の放送時間)」×「初期目的利用料率」で計算されるという。
「基本ランク」とは、声優の技量やキャリアなどによって毎年更新されるもの。新人声優は、デビュー3年間は出演1本につき1万5000円のジュニアランクと決まっている。
以降は、ランク15(1万5000円)からランク45(4万5000円)までランク分けされていて、上限なしにギャラの交渉が可能な「ノーランク(ランク外)」になるには、かなりの実績と経験が必要となる。
「時間割増率」とは、テレビの放送枠や劇場版の上映時間にあたる。30分枠を基準(1.0倍)にして、60分枠では1.5倍、90分枠では1.9倍、120分枠では2.3倍といったように放送や上映時間によって倍率が定められている。ただし、ジュニアランクの場合は、これが適用されない。
「初期目的利用料率」とは、テレビ放送や劇場公開など、アニメの利用目的によって定められた倍率。テレビ放送の場合は80%(1.8倍)、劇場公開ならば150%(2.5倍)に設定されている。
「たとえば、ランク15の声優が30分番組のテレビシリーズ(全48話)に出演したとしましょう。1本のギャラは、『基本ランク(1万5000円)』×『時間割増率(1.0倍)』×『初期目的利用料(1.8倍)』で計算でき、2万7000円です。ここから事務所のマネジメント料の天引きや源泉徴収が行われるので、手取りは1本2万円弱になると声優の知人に聞きました。つまり、テレビシリーズの主役でもギャラが100万円に満たない場合もあるのです」