業績を伸ばしているインドのホテルチェーン、レモンツリー・ホテルズを考えてみよう。レモンツリーは57カ所に91のホテルを持ち、障害者の雇用に力を入れている。当初は聴覚障害者を数人雇用していたが、現在ではダウン症患者、アシッドアタック(硫酸などを顔などにかけられた)の生存者、その他社会から疎外されたグループの人々を多数雇用している。同社の成功に、「個々の強みに基づくアラインメント」は欠かせない要素である。
たとえば、レストランのサービス係の仕事には、2つのまったく異なるタスクがある。正確なテーブルセッティングやビュッフェプレゼンテーションなど、多くのスタッフが反復的で退屈だと感じる仕事と、メニューの説明や注文取り、お客に追加のドリンクや料理を注文させるといった、ほとんどのスタッフがより楽しいと感じる接客の仕事だ。
レモンツリーの創業者であるパトゥ・ケスワニは、この2つの仕事に対して異なる人材を雇うことができることに気づいた。彼は、ダウン症の従業員の多くが、テーブルやビュッフェのセッティングを楽しみ、得意としていることに気づいた。これにより、他のスタッフは接客の仕事に集中できるようにもなった。
聴覚障害のある客室係は、その他の客室係よりも生産性が約15%高く、ダウン症の従業員も一般的な従業員よりも生産性が高い。同社は、これまで排除されていた人々に柔軟な就労機会を提供してきたことで数々の賞を受賞し、わずか数年でインド第3位のホテルチェーンとなった。