難しい状況に対処することに失敗したCEOの一人が、ボブ・チャペックだ。2022年11月にウォルト・ディズニーのCEOを更迭された人物である。就任してまだ3年も経っていなかった。
ディズニーはフロリダ州で指折りの大規模な雇用主であり、それゆえにフロリダ州の小学校で教師が性的指向と性自認について話題にすることを制限する州法の是非について、チャペックが立場を明らかにするよう求める声がさまざまなステークホルダーから持ち上がった。
最初、チャペックは沈黙を貫いた。しかし、そうした姿勢に不満を抱く消費者からディズニーがボイコットの標的にされる可能性が強まり、自社の従業員からの批判にもさらされて、ようやく公の場で反対の立場を表明した。
すると、今度は保守派から激しい反発を買うことになった。フロリダ州知事のロン・デサンティスは、フロリダ州内のディズニーの施設に対する優遇措置の取り消しに動いた。あるメディアは、チャペックの更迭を「意識高い系戦争」の結末と表現した。