右側に立ち、左側を空ける片側空けが世界で初めて行われたのはロンドンの地下鉄駅だという。
片側空けはエスカレーターの普及とともにヨーロッパ、アメリカなどに広がり、当時の「先進国」では当然のマナーとされており、オリンピック、万博を経て本格的な国際化を迎える中で、外国人の目から見て恥ずかしくない振る舞いが求められた。
そんな中、関西では着々と片側空けが広がっていく。1981年に開業した京都市営地下鉄、1985年に新神戸駅に到達した神戸市営地下鉄で、片側空けを呼びかける放送や掲示が行われ、1990年代に入っても近鉄布施駅、京阪京橋駅、JR東西線北新地、大阪天満宮、海老江駅などでマナー啓発が行われた記録があるという。
この頃になると片側空けは関東でも行われるようになり、1989年9月2日の読売新聞は「最近、新御茶ノ水駅にロンドン方式らしい現象が現れるようになった」と伝えている。