花崗岩から生み出された軟水が、日本酒の製造には欠かせない。
日本酒の製造過程で、米本来の旨味と甘みを引き出す「糖化」に用いられる麹菌は鉄分を極端に嫌う。また、香味を出すための発酵段階では酵母菌が使われる。その酵母菌はカリウムを栄養源として活動する。
つまり、日本酒の製造に必須なこれらの2つの菌は日本の水だからこそ、真価を発揮する。花崗岩が多い国土が日本酒を生んだといっても過言ではないのだ。
そして、古くからその軟水の性質に着目していた日本人は、後背地に花崗岩でできた山を持つ西条(広島県)、灘(兵庫県)、魚沼地方(新潟県)など、今なお日本酒の名産地として知られる場所に多くの酒蔵を作ってきたのである。