夏子の設定を描いたときは宮﨑さんは「これで結構です」と言ってくれたんですが、本編でいろいろ手を入れ始めるんですよ。

ジブリ、特に宮﨑作品では、設定はあくまでも色指定用で、色を決めるためのものなんですね。

宮﨑さんの作品だと、設定は基本的に色を決めるための元の絵という要素が強くて、絵はレイアウトを描いていく中で、どんどん変わっていくことが多々あるんです。

冒頭の駅のシーンの眞人も、最初はこんなに髪が長くないんですよ。

帽子を取ったときの長い毛を表現したくて、宮﨑さんが髪を伸ばしたんですね。

そうすると、もう設定と違うんですよ。
「え、この長さでいくの?」と初っ端から絵が変わってて、最初は度肝を抜かれました。

だから、後から入ってくるスタッフに「ちょっと設定の絵と違うんですけど、それを考慮してお願いします」とわざわざいちいち言わないといけなかったんですよ。

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