完全競争の重要な帰結は、「企業の超過利潤がゼロになる」ということだ。「超過利潤」というのは、「企業が何とか事業を続けていける『必要ギリギリの儲け』を上回る部分」のことである。
例えば、ある産業の企業が超過利潤を上げている(=儲かっている)と、その超過利潤を求めて他業界の企業やスタートアップ企業が参入してくるはずだ。
完全競争では参入コストがかからないのだから、儲かっている産業に参入するのは合理的な判断だ。
しかしこの産業は、多くの企業が参入しても皆同じ製品をつくっている。各企業は製品特性で勝負できないので、ライバルに勝つには価格を下げるしかない。しかも各企業は小さく、市場価格をコントロールできない。
結果として、完全競争下では徹底した価格競争のみが行われ、「すべての企業がギリギリでやっていけるだけの利益しか上げられない」水準まで市場価格が下がっていくのだ。