タンパク質を作るための構造が、細胞の中にはあって、リボソームと呼ばれている。ウイルスにはこのリボソームがないので、タンパク質を作ることができないのである。
キジラミという、小さなセミのような昆虫がいる。このキジラミの細胞の中に共生しているカルソネラ・ルディアイという細菌は、リボソームを作る遺伝子の一部を失っている。そのため、自分だけではリボソームを作ることができない。したがって、タンパク質が作れず、自分の複製を作る(つまり細胞分裂をする)ことができない。複製を作るためには、共生しているキジラミの細胞に頼らなければならないのである。
カルソネラ・ルディアイのような細菌もいるので、生物とウイルスのあいだに、はっきりとした境界線を引くのは難しそうだ。