通常、商品をかごに入れてから何時間以内にレジに持っていかなければならないといったルールは存在せず、商品をかごに入れて持ち歩く行為が、他の客の商品を購入する権利を侵害する不法行為だとは考えられません。商品をキープされたことで、他の客は多少不便を感じることがあるかもしれませんが、それは社会生活を営む上で通常生じる我慢の範囲内のことでしょう。
また、半額セールが始まる1時間前から商品をキープしていたとしても、それだけで店の業務を妨害したとは評価できないでしょう。先述した通り、通常、客には商品をかごに入れた状態で店内で買い物する自由があるからです。
なお、刑法で定められている『業務妨害罪』は店に関する、うその事実を広めることや店が知らない間に店の設備を壊すこと、店員に暴行を加え怖がらせるなどといった手段で業務を妨害した場合に成立します(刑法233条、234条)。従って、半額セールを待つために商品をキープしていただけでは業務妨害罪には当たりません。