DNA研究が進んだことにより、以前は手堅く一夫一婦制を守ると考えられてきた、ハクチョウやワシなども、実は不貞をはたらくことがあると判明してきました。とはいえ、私のお気に入りを挙げるならば、もっとも堅実に一夫一婦制を守っている生物は、とある淡水魚に寄生する扁形動物です。Diplozoon paradoxumという学名の、この扁形動物は、思春期に雄と雌が出会うと、身体を絡め合って、そのまま死ぬまで離れることがありません。
ほかに一夫一婦制を守っているように見える哺乳動物を挙げるならば、カリフォルニアマウス、一部のキツネ、数種類のマーモセット、それから、マダガスカルの巨大ネズミやキツネザルがいるでしょうか。こうした種が生涯ずっと一夫一婦制といったとしても、本当によく研究すれば、実はそうでもないということもあり得ます。これは驚くには当たりません。生態系というのは、変化に富んでおり、いわゆるつがいの正式な相手に見つかりさえしなければ、性的パートナーは多ければ多いほどよいというのが、雄にとっても雌にとっても当てはまるからです。